レアな症例

加害者が任意保険に入っていない場合
通常、事故でぶつけられた人(被害者)は、ぶつけた人(加害者)の自賠責保険と任意保険と使い、むち打ちなど身体の痛みに対する治療や、車の修理を行います。

ここで、加害者が任意保険を使用するという意志と決断を持って、任意保険の担当者が窓口となり、被害者とやり取りをしていきます。

しかし、ここで加害者が任意保険に入っていないと・・・窓口となる担当者がいなくなります。

この場合、被害者請求という方法があるのですが、事故の経験がない人には、この書類作成は、複雑で面倒でストレスのたまるものとなります。

多い人で、13種類ほどの書類を集めなくてはなりません。

そこで、被害者自身が、任意保険に加入していれば、まずは、自分の保険会社に相談してみましょう!

もし、”人身傷害特約”に加入していれば、健康保険の適用で治療をすることができるケースがあります。

ただし、健康保険を使用する場合、通常の怪我と違い、加害者がいるものですから、本来は加害者から治療費を貰うのが普通であるため、”第3者行為”の手続きをしなくてはなりません。

この説明をしてくれる保険会社の担当さんは、比較的親切な方だと思います。

私の経験上、この説明をしてくれない保険会社さんもあり、通常の怪我として保険治療を行うことは出来ません。

あとから保険組合などからクレームが入るかもしれませんので注意が必要です。

ここでこの”第3者行為”の手続きは、これもまた書かなくてはいけない書類が8種類(協会けんぽの場合)ほどあり面倒なものです。

中には、加害者からサインを求めるものもあり、手に入れるのに骨が折れるものなのです。

自身の保険に弁護士特約などがあれば、すべて依頼してしまう手もあります。


加害者が自賠責保険に入っていない
「加害者が自賠責保険にも、任意保険にも加入していない」という事故の場合


この場合、加害者に治療費や慰謝料などの損害賠償の支払い能力がないという可能性がでてきます。

加害者から損害賠償を受けとれられない場合には、国が被害者に対して損害の補填をしてくれる「政府保障事業」という制度を利用できる場合があります。

この政府保障事業は、加害者がわからない引き逃げの交通事故でも活用することができます。

支払われる限度額などは自賠責保険と同じで、被害者が利用できる健康保険などの社会保険給付がある場合は、その給付分の金額が差し引かれて、補填されます。

被害者自身の保険を使うことも検討を

被害者が加入している任意保険の「人身傷害特約」や「搭乗者傷害保険」によって、保険契約の範囲内で、損害の補填を受けられる可能性もあります。



任意保険の担当に連絡がつかない・連絡がこない
交通事故の治療を行う場合において、大半は加害者側の任意保険の担当が窓口となります。

損害賠償を加害者本人からではなく、保険会社から支払ってもらうからです。

よくあるトラブルとして

「保険会社の担当者から連絡がこない」というケースがあります。

事故後、加害者側と連絡先を交換して、加害者が任意保険に加入していれば、その保険会社担当から連絡が入るはずです。

今後の対応の窓口になること、体の具合、病院等の治療費についてなどの話があるのですが・・・。

いつまで待っても連絡が入らない。

このような時、被害者はどうしたらよいのかわからず、不安になってしまうでしょう。

身体に痛みがあれば、直ぐにでも病院に行きたいと思うはずです。

連絡がないのは・・・担当者が他の案件を抱えていて、手が回らなかった!ということがあります。

この場合、いくら待ってもすぐに対応してくれる可能性は低いです。

保険会社に自分で連絡し、今どのような状況になっているか確認しましょう。

土日祝日などは、少数の休日対応の方が対応するのですが、正式な担当は平日になってから決まることも多いようです。

取り敢えず、通院したい旨を伝え、病院等に連絡を入れてもらうようにしましょう。

通院する病院・整骨院を決めておくとスムーズにいくはずです。

この連絡が病院・整骨院等に入っていないと、当日窓口で自腹で支払いをしなくてはならないことがあります。

八王子南口整骨院では、平日まで治療費を待ったあげることもありますが、病院では、まず待ってくれません。

レントゲン等の撮影を行うと1万円以上の支払いを求められるケースもあります。

救急対応の病院だと6万円ほど請求されたということもあります。

事故に遭い、体が痛いのに、支払いも自分・・・やりきれない感がありますね。

何故、対応が遅れているのか質問し、連絡がなかったことを伝え不満を感じてることを主張しましょう。

それでも対応が悪い場合には、本社にクレームを入れると、担当が変わることもあるようです。
整形外科が整骨院の併用を認めない
以前はなかったのですが、最近、任意保険会社は、整骨院でかかる場合に、整形外科の許可を得るようにと言ってくることがあります。

整形外科は17~18時位で終わってしまうため、中々通院できないため、リハビリを整骨院でやりたいと言ってみてはどうでしょうか?

どうしても許可を出してくれない場合には、許可をもらえる整形外科へ転院するしかないです。
自分の過失割合の高い事故
交通事故で、整骨院に来院する方には、被害者はもちろんのこと、時には加害者側の怪我人が来ることがあります。

加害者とは、ケガの度合いではなく、過失割合の高い人になります。

この場合、事故の相手(被害者)の保険会社は、普通、治療費を払ってはくれません。

そこで、自分の任意保険の中で、人身傷害特約に入っていると、自身の健康保険の負担金(1割から3割)についてカバーしてくれることになります。

保険会社の方は、簡単に健康保険を使って治療してくださいとは言いますが、この健康保険を使う場合には、第三者行為の手続きをしなくてはなりません。

健康保険の保険者側からすると、相手がいる怪我、相手に追わされた怪我は、相手から治療費を貰うべきだという考えがあります。

なので、この第三者行為の手続きをしないで、健康保険で治療を行うと、治療費が支払われないことがあります。

その場合、整骨院や病院から、患者さんに治療費を請求されることになります。

これは治療が終わって数ヶ月後ということもありますので、患者さんにとっては何故?といった印象で、もめる原因となります。

また、通勤での事故では、健康保険は使用できません。

通勤災害として労災を申請することになります。

労災は、取り扱いのある所と無い所があるので事前に、治療するところに聞いてみると良いでしょう。

第三者行為の手続きは、約10枚ほどの用紙に記入しなくてはいけないので、かなり面倒です。

弁護士特約に加入している方は、交通事故専門の弁護士を雇い、すべてやってもらうのも良いのではないでしょうか?

ひき逃げに遭った場合
ひき逃げの全てがこのように証拠が残っているとは限りません。

ひき逃げで怪我をしている場合、加害者がいないので治療費は自己負担で・・・となると、こんな理不尽なことはありません。

そこで、あまり知られていませんが、国土交通省の政府保証事業というのがあります。

これは、本来、加害者が払うべき損害金を補填してくれる制度です。

ただし、人身事故にのみ適用されるもので物損事故には適用されません。

資料の請求は、自賠責保険を取り扱う各社保険会社であれば受け付けてくれます。

ご自身が、加入している自動車保険会社でも状況に合わせて教えてもらえるはずです。

政府保証事業の適用の際には、病院での治療は健康保険への切り替えが必要です。

基本的にひき逃げを含む交通事故のような第3者から受けた怪我は、健康保険組合への手続きが必要になります。

まずは、自分の健康保険へ電話してみましょう。

ここで、とても大事なことは

1.相手がいなくても(ひき逃げでも)、必ず警察に届けてください。事故の証明がないと、いくら怪我をしていても適用されません。

2.健康保険に切り替えてください(通常交通事故は医療機関では自由診療になっています)

3.事故証明を取ってください(インターネットからでも取り寄せることが出来ます)

損害金の算定は自賠責保険に準じて支払われます。

また、自分の保険の特約で人身傷害特約に入っていると、ここから治療費を賄うことができます。


助手席などの同乗者の怪我について
好意同乗者という単語は、民事上の損害賠償の際に使われる言葉です。

自賠責では、被害者が加害者の車に同乗の場合、加害者からみて他人に当たる場合を言います。

他人とは、加害者と被害者の関係が夫婦、親子等ではないということではなく、加害自動車の保有者や運転者及び、運転補助者以外の人のことを言います。

例えば、保有者である夫が同乗して、妻が運転中、単独事故(自損事故)を起こして夫が負傷した場合、夫は保有者であるため他人とならず自賠責の対象外となります。

逆に、保有者の夫が運転、妻が同乗者の被害者の場合には、妻は他人となり自賠責の対象となります。

例えば、

友人を2人同乗させて、保有者である運転手が運転中、飛び出してきた動物を避けての自損事故を起こして来院。

運転者は、自損事故なので、自身の加入していた任意保険の中で、人身特約補償を使用し、健康保険の第3者行為の手続きをして治療。

3割負担である健康保険の一部負担金を、保険会社に支払ってもらう形となりまます。

しかし、友人の2人は、加害者からは他人のため、各々に自賠責保険(治療費や休業損害等120万円まで使うことが可能)を使用することが出来、負担金は無しで治療できることになります。

通常の運転においては、好意同乗者ということで減額されるということはないので、同乗者を乗せた事故を起こした際には、このことを思い出してもらいたいと思います。

接触していない交通事故の治療
雨の中での運転は、前方が見にくくいつも以上に気を使います。

特に夜は、対向車の光が乱反射し見ずらいこともあります。

バイクや自転車で走行中、急に横から車が飛び出して来たら・・・見ずらい状態だと気付きにくいケースもあります。

そして、避けきれず転倒負傷なんてことも・・・。

状況にもよりますが、横からの車が出てこなければ、転倒が起こらなかったといえるケースでは、車に接触していなくても車側の過失割合が高くなる場合があります。

その場合、車側の保険で、怪我の治療が行える場合があります。

ただし、接触がないと、車側は気付かずに行ってしまうこともあるかもしれないので注意が必要です。

・相手を追いかけれ事情を説明する

・ナンバープレートを覚えておく

といったことが必要になります。

接触がない事故でも、事故は事故なので必ず警察を呼んで交通事故証明が出るように手続きを行いましょう。

事故証明がないと、事故が遭ったと主張しても、証拠がない状態になってしまいます。

接触のない事故で損害賠償を請求するには最も大事なことは、「事故との因果関係を明確にすること」です。

ドライブレコーダーや、防犯カメラなどがあればそれを証拠にすると良いでしょう。

また、目撃者がいれば必ず連絡先を聞いておきましょう。

こういった事故では、バイク・自転車が多いのですが、自動車の追突と違って、擦り傷・切り傷・打撲などの外傷が多くなります。

この傷は痛みが強く、その後に違った痛みを併発していきます。