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交通事故治療後の後遺症、諦めないで!症状別改善法と適切な補償の全て

交通事故後の治療を終えても、首の痛み、腰のしびれ、頭痛、めまいといった後遺症に苦しみ、「このままではいけない」と不安を感じていませんか?「もう改善しないのでは」と諦める前に、知っておくべきことがあります。この記事では、交通事故による後遺症の定義から、むちうち症や腰痛、神経症状など症状別の具体的な改善法、適切な治療機関の選び方、後遺障害認定の基礎知識と手続き、そして自賠責保険や任意保険による正当な補償を得るための全情報を網羅的に解説します。さらに、弁護士など専門家への相談メリットまで、あなたの不安を解消し、症状改善と適切な補償獲得への道筋を明確に示します。諦めずに、適切な行動で未来を取り戻すための第一歩を、この記事から始めてください。

1. 交通事故治療後の後遺症とは何か

交通事故に遭い、病院での治療を受けたにもかかわらず、いつまでも痛みやしびれ、めまいといった不調が続くことがあります。これが「交通事故治療後の後遺症」と呼ばれる状態です。単なる一時的な症状ではなく、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があり、適切な対応が求められます。

1.1 交通事故による後遺症の定義と種類

交通事故による後遺症とは、交通事故で負った怪我の治療を継続したにもかかわらず、これ以上治療しても症状の改善が見込めない状態(症状固定)になった後も、なお残存する心身の不調や機能障害を指します。法的な評価を受ける「後遺障害」とは異なる概念ですが、後遺症が残存した結果、後遺障害として認定されるケースも少なくありません。

後遺症の種類は多岐にわたりますが、主なものとしては以下の症状が挙げられます。

後遺症の種類 具体的な症状例
神経症状 むちうちによる首や肩の痛み、手足のしびれ、頭痛、めまい、耳鳴りなど
運動器症状 関節の可動域制限、筋力低下、慢性的な腰痛や関節痛など
精神・心理症状 PTSD(心的外傷後ストレス障害)、うつ病、不眠症、集中力低下など
感覚器症状 視力低下、聴力低下、複視(物が二重に見える)など
醜状障害 顔面や手足に残る傷跡、変形など
内臓器症状 内臓損傷による機能障害(稀なケース)

これらの症状は単独で現れることもあれば、複数組み合わさって現れることもあります。特に、事故直後には自覚症状がなくても、時間が経過してから現れるケースも少なくないため、注意が必要です。

1.2 後遺症を放置することのリスク

交通事故による後遺症を「そのうち治るだろう」と軽視したり、適切な治療を受けずに放置したりすることは、身体的、精神的、そして経済的・法的な面で様々な深刻なリスクを伴います。

身体的リスク:

    症状の慢性化、悪化:初期の軽微な症状が、放置することで慢性的な痛みに変わり、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。

    二次的な症状の誘発:首の痛みをかばうことで肩や腰に負担がかかり、新たな痛みが生じるなど、連鎖的に他の部位にも不調が広がる可能性があります。

    機能障害の固定化:適切なリハビリテーションが行われないと、関節の可動域制限や筋力低下が固定化し、元の状態に戻ることが困難になる場合があります。

精神的リスク:

    QOL(生活の質)の著しい低下:痛みや不調が続くことで、仕事や趣味、家族との時間など、日常生活のあらゆる側面に影響を及ぼし、精神的な苦痛が増大します。

    うつ病や不眠症の発症:慢性的な痛みや将来への不安から、精神的なバランスを崩し、うつ病や不眠症などの精神疾患を発症するリスクが高まります。

経済的・法的なリスク:

    治療費の自己負担増大:症状が悪化・慢性化すれば、その分治療期間が長くなり、保険適用外の治療費や将来の介護費用など、自己負担が増える可能性があります。

    後遺障害認定の困難化:適切な医療機関での継続的な治療記録がないと、後遺障害の申請時に症状と事故との因果関係や症状の程度を証明することが難しくなり、後遺障害認定を受けられない可能性があります。

    賠償金(慰謝料・逸失利益など)の減額:後遺障害が認定されない場合や、症状の悪化が事故との因果関係を証明できないと判断された場合、本来受け取れるはずの慰謝料や逸失利益などの賠償金が大幅に減額されるか、請求自体が認められないリスクがあります。

これらのリスクを避けるためには、事故直後から症状が改善するまで、決して自己判断せずに専門医の診察を受け、指示された治療を継続することが極めて重要です。

2. 交通事故治療後の後遺症 主な症状と改善策

交通事故によって負った怪我の治療が終わった後も、様々な症状が残ることがあります。これらは「後遺症」と呼ばれ、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。しかし、適切な診断と継続的な治療、リハビリテーションによって症状の改善が期待できます。ここでは、代表的な後遺症とその改善策について詳しく解説します。

2.1 むちうち症と首や肩の痛み

むちうち症は、交通事故で最も多く見られる後遺症の一つです。追突などにより、首が鞭のようにしなることで頸椎やその周辺組織(筋肉、靭帯、神経など)が損傷を受けることで発生します。正式には「頸椎捻挫」や「外傷性頸部症候群」などと呼ばれます。

主な症状としては、首や肩の痛み、こり、可動域の制限が挙げられます。その他、頭痛、めまい、吐き気、耳鳴り、手のしびれや脱力感、集中力の低下、不眠といった多様な神経症状を伴うこともあります。これらの症状は事故直後ではなく、数日~数週間後に現れることも少なくありません。

2.1.1 むちうち後遺症の具体的な治療法

むちうち後遺症の治療は、症状の程度や時期によって異なりますが、主に保存療法が中心となります。早期からの適切な治療とリハビリテーションが、症状の改善と慢性化予防に不可欠です。

治療法の種類 主な内容 期待される効果
薬物療法 鎮痛剤、筋弛緩剤、抗炎症剤、神経障害性疼痛治療薬など 痛みの緩和、筋肉の緊張緩和
物理療法 温熱療法、電気療法(低周波、干渉波)、牽引療法、超音波療法 血行促進、筋肉の緊張緩和、鎮痛
運動療法 ストレッチ、筋力トレーニング、姿勢改善指導、理学療法 可動域の改善、筋力回復、再発予防
装具療法 頸椎カラー(急性期)、コルセットなど 患部の安静保持、負担軽減

自己判断での治療中断は避け、医師や理学療法士の指示に従い、継続的に取り組むことが重要です。

2.2 腰痛や下肢のしびれ

交通事故の衝撃は、首だけでなく腰部にも大きな負担をかけ、腰椎捻挫や椎間板ヘルニアなどを引き起こすことがあります。これらの損傷が後遺症として残ると、慢性的な腰痛や臀部、下肢へのしびれ、痛み(坐骨神経痛様症状)が現れることがあります。重度の場合には、筋力低下や排泄障害を伴うこともあります。

2.2.1 腰部後遺症の改善アプローチ

腰部後遺症の治療も、むちうち症と同様に保存療法が中心となります。症状の原因を特定し、それに合わせた治療計画を立てることが重要です。

治療法の種類 主な内容 期待される効果
薬物療法 非ステロイド性抗炎症薬、筋弛緩剤、神経障害性疼痛治療薬など 痛みの緩和、炎症抑制、神経症状の軽減
物理療法 温熱療法、電気療法、牽引療法、ホットパックなど 血行促進、筋肉の緊張緩和、鎮痛
運動療法 体幹強化エクササイズ、ストレッチ、姿勢指導、理学療法 腰部安定性の向上、筋力回復、可動域改善
神経ブロック注射 痛みの原因となっている神経周辺への局所麻酔薬投与 一時的な痛みの緩和、診断目的

日常生活での正しい姿勢の維持や、重いものを持つ際の注意など、生活習慣の見直しも改善には不可欠です。

2.3 頭痛やめまい 耳鳴りなどの神経症状

交通事故による衝撃は、頭部への直接的な影響だけでなく、むちうち症によって自律神経系に乱れを生じさせ、多様な神経症状を引き起こすことがあります。これらは、一般的な検査では異常が見つかりにくいことも多く、診断が難しいケースもあります。

主な症状には、慢性的な頭痛(緊張型頭痛、片頭痛)、めまい、耳鳴り、吐き気、倦怠感、集中力低下、睡眠障害、目の疲れ、光過敏、音過敏などがあります。これらは自律神経失調症や脳脊髄液減少症といった病態と関連している可能性も指摘されています。

2.3.1 神経症状への専門的対応策

神経症状の治療には、多角的なアプローチと専門医による正確な診断が不可欠です。脳神経外科、耳鼻咽喉科、心療内科、精神科など、複数の診療科との連携が必要となる場合もあります。

対応策の種類 主な内容 期待される効果
薬物療法 対症療法(鎮痛剤、吐き気止め)、自律神経調整薬、抗不安薬、抗うつ薬など 症状の緩和、自律神経のバランス調整
リハビリテーション 平衡感覚訓練、視覚訓練、物理療法、認知行動療法 めまいや平衡機能の改善、精神的負担の軽減
生活習慣の改善 十分な睡眠、ストレス管理、カフェイン・アルコール摂取の制限 自律神経の安定、症状の悪化予防
専門的治療 脳脊髄液減少症が疑われる場合のブラッドパッチ療法など 根本原因へのアプローチ

精神的なケアも非常に重要であり、心身両面からのサポートが回復を促します

2.4 その他の後遺症と対処法

上記以外にも、交通事故によって様々な後遺症が発生する可能性があります。例えば、骨折後の関節の可動域制限や変形、神経損傷によるしびれや麻痺、嗅覚・味覚障害、高次脳機能障害(記憶障害、注意障害など)、そしてPTSD(心的外傷後ストレス障害)やうつ病といった精神症状も挙げられます。

これらの後遺症に対しては、それぞれの症状に応じた専門医の診断と治療が必要です。例えば、関節の可動域制限には整形外科医と理学療法士による運動療法、精神症状には精神科医や心療内科医によるカウンセリングや薬物療法が有効です。複数の後遺症が併発している場合は、各専門家が連携し、包括的な治療計画を立てることが回復への近道となります。

3. 交通事故後遺症の適切な治療機関選び

交通事故による後遺症の治療は、適切な医療機関を選ぶことが症状の改善、そしてその後の後遺障害認定や補償に大きく影響します。自身の症状や状況に合わせて、最適な治療機関を見極めることが重要です。

3.1 病院と整骨院の役割と連携

交通事故による後遺症治療において、病院と整骨院はそれぞれ異なる役割を持ち、状況に応じて連携することでより効果的な治療が期待できます。

まずは、それぞれの機関がどのような治療を提供し、どのようなケースに適しているのかを理解しましょう。

機関 主な役割と得意分野 適しているケース 補足事項
病院(整形外科、神経内科など)

    医学的診断と治療:レントゲン、MRI、CTなどの画像診断による客観的な症状把握

    投薬、手術、注射などの専門的な医療行為

    リハビリテーションの指導

    後遺障害診断書の作成

    骨折、脱臼、靭帯損傷など、明らかな外傷がある場合

    神経症状(しびれ、麻痺など)が強い場合

    痛みが激しい、または広範囲にわたる場合

    後遺障害認定を視野に入れている場合

定期的な医師の診察が後遺障害認定の重要な根拠となります。

整骨院(接骨院)

    手技療法:マッサージ、ストレッチ、矯正などによる痛みの緩和と機能改善

    物理療法:電気治療、温熱療法など

    日常生活での姿勢指導や運動指導

    むちうち症による首や肩の痛み、可動域制限

    腰痛や筋肉のこり、張り

    病院での診断後、機能回復や痛みの緩和を目的とする場合

医師の同意があれば、自賠責保険が適用されることが多いです。

後遺症治療では、病院での定期的な診察と診断を基盤とし、整骨院での手技療法やリハビリを併用するという連携が非常に有効です。特に、後遺障害認定を目指す場合は、医師による客観的な診断と経過記録が不可欠となります。

3.2 専門医による診断の重要性

交通事故の後遺症、特にむちうち症や神経症状は、その症状が複雑で多岐にわたるため、専門的な知識を持つ医師による診断が極めて重要です。一般的な医師では見落とされがちな症状や、適切な治療方針の決定には、専門医の知見が不可欠となります。

例えば、首の痛みや手のしびれ一つとっても、整形外科医だけでなく、神経内科医や脳神経外科医の専門的な見地が必要となるケースもあります。専門医は、画像診断の結果だけでなく、患者の訴える症状、身体所見、神経学的検査などを総合的に判断し、的確な診断を下すことができます。

また、後遺障害認定の申請においては、専門医が作成する詳細かつ客観的な後遺障害診断書が、認定の可否を大きく左右します。症状の原因や程度、将来的な回復の見込みなどについて、医学的な根拠に基づいた記述が求められるため、専門医の診断は非常に重要な意味を持つと言えるでしょう。

4. 後遺障害認定の基礎知識と手続き

交通事故治療を終えてもなお症状が残り、それが将来にわたって改善の見込みがないと判断された場合、それは「後遺症」ではなく「後遺障害」として認定される可能性があります。この後遺障害が認定されることで、適切な補償を受けられるかどうかが大きく左右されます。ここでは、後遺障害認定の仕組みと手続きについて詳しく解説します。

4.1 後遺障害等級の仕組みと認定基準

後遺障害とは、交通事故による傷害が治療によってこれ以上改善しない状態(これを症状固定と呼びます)になった後も、なお残存する精神的または身体的な障害のことを指します。この後遺障害は、その症状の程度や内容に応じて、自賠責保険が定める基準に基づき1級から14級までの等級に分類されます。さらに、介護を要する場合には要介護1級または2級が認定されることもあります。

等級認定の基準は、主に以下の要素を総合的に判断して決定されます。

    医学的な症状の永続性:将来にわたって症状が改善しないと医学的に証明できるか。

    労働能力への影響:後遺障害が労働能力にどの程度影響を与えるか。

    神経学的所見や画像所見:レントゲン、MRI、CTなどの画像診断や神経学的検査結果により、症状が客観的に裏付けられるか。

特に多いむちうちによる神経症状の場合、例えば「局部に神経症状を残すもの」として14級9号、「局部に頑固な神経症状を残すもの」として12級13号が認定されることがあります。それぞれの等級によって、受けられる慰謝料や逸失利益の金額が大きく変動するため、適切な等級認定を目指すことが非常に重要です。

後遺障害等級の主な例は以下の通りです。

等級 症状の例
1級 常に介護を要する重度の高次脳機能障害、脊髄損傷による両下肢完全麻痺など
7級 脊柱の著しい変形、一上肢の用を全廃したものなど
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの(MRIなどで客観的所見がある場合など)
14級9号 局部に神経症状を残すもの(医学的説明は可能だが客観的所見が乏しい場合など)

4.2 認定に必要な書類と準備のポイント

後遺障害の認定を受けるためには、損害保険料率算出機構(自賠責保険の損害調査を行う機関)に対して、適切な書類を提出する必要があります。申請方法には、加害者側の任意保険会社に手続きを任せる「事前認定」と、被害者自身が直接手続きを行う「被害者請求」の2種類がありますが、被害者請求の方がより詳細な書類を提出でき、認定の可能性を高めやすいと言われています。

認定に必要な主な書類は以下の通りです。

    交通事故証明書

    診断書(初診から症状固定までの全ての医療機関のもの)

    診療報酬明細書

    後遺障害診断書(最も重要であり、症状固定時に医師に作成を依頼します)

    画像資料(レントゲン、MRI、CTなどの画像フィルムまたはデータ)

    各種検査結果(神経学的検査結果、筋電図など)

    交通事故状況報告書

    印鑑証明書、住民票など

これらの書類を準備する際のポイントは、症状の一貫性と客観性を証明することです。特に後遺障害診断書は、等級認定の可否を大きく左右するため、作成を依頼する医師に症状の経過や具体的な痛みの内容、日常生活への支障などを正確に伝え、必要な検査を適切に行ってもらうことが重要です。また、自覚症状だけでなく、神経学的所見や画像所見といった客観的な医学的証拠をどれだけ揃えられるかが鍵となります。

4.3 認定結果に不服がある場合の異議申し立て

後遺障害の認定結果に不服がある場合、例えば「非該当」とされたり、認定された等級が症状に見合わないと感じたりした場合には、異議申し立てを行うことができます。異議申し立ては、認定を行った損害保険料率算出機構に対して行います。

異議申し立てを成功させるためには、当初の申請では提出できなかった新たな医学的証拠や、症状の客観性をより強く裏付ける資料を提出することが不可欠です。具体的には、以下のような準備が考えられます。

    別の専門医による診断書や意見書

    新たな検査(MRIの再撮影、神経伝導速度検査など)の結果

    日常生活における支障を具体的に記録した日記や写真

異議申し立ては、単に「不服である」と主張するだけでは認められにくいため、なぜ当初の認定が不適切であったのかを医学的・客観的な根拠に基づいて明確に説明する必要があります。このプロセスは専門的な知識を要するため、弁護士に相談し、適切なアドバイスとサポートを受けながら進めることを強くお勧めします。

5. 交通事故後遺症に対する適切な補償

交通事故による後遺症は、身体的な苦痛だけでなく、経済的な負担も伴います。適切な補償を受けることは、治療の継続や生活再建のために不可欠です。ここでは、交通事故後遺症に関する補償の仕組みと、その種類、算出基準について詳しく解説します。

5.1 自賠責保険と任意保険の役割

交通事故の補償は、主に自賠責保険と任意保険の二つの制度によって成り立っています。それぞれの役割を理解することが、適切な補償を受けるための第一歩です。

自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、すべての自動車とバイクに加入が義務付けられている強制保険です。その目的は、交通事故の被害者を救済することにあり、人身損害(怪我や死亡)に対する最低限の補償を行います。後遺障害が認定された場合も、等級に応じて後遺障害慰謝料や逸失利益が支払われますが、支払いには限度額が設けられています。例えば、後遺障害による損害賠償の限度額は、等級に応じて最大4,000万円(常時介護が必要な場合)です。

一方、任意保険は、加入が義務付けられていない任意の保険です。自賠責保険ではカバーしきれない損害を補填する役割を担い、対人賠償、対物賠償、車両保険など、より広範な補償を提供します。自賠責保険の支払い限度額を超過する損害や、物損に関する損害は、任意保険から支払われることになります。また、示談交渉を保険会社が代行してくれることも多く、被害者にとっては大きなメリットとなります。

5.2 慰謝料の種類と算出基準

交通事故による後遺症で精神的苦痛を受けた場合、その苦痛に対する賠償として慰謝料が支払われます。慰謝料にはいくつかの種類があり、その算出基準も異なります。

主な慰謝料の種類は以下の通りです。

    入通院慰謝料(傷害慰謝料):交通事故による怪我の治療のために病院に入院したり通院したりした期間に対して支払われる慰謝料です。治療期間や実通院日数に応じて算出されます。

    後遺障害慰謝料:交通事故によって将来にわたり回復の見込みがない後遺症が残り、後遺障害として認定された場合に支払われる慰謝料です。認定された後遺障害の等級によって金額が大きく変動します。

    死亡慰謝料:交通事故により被害者が死亡した場合に、被害者本人と遺族の精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。

これらの慰謝料の算出には、主に以下の三つの基準があります。

算出基準 特徴 金額水準
自賠責保険基準 自賠責保険が定める最低限の補償基準。 最も低額
任意保険基準 各任意保険会社が独自に定める基準。自賠責基準よりは高いが、公開されていないことが多い。 自賠責基準より高額だが、弁護士基準より低額
弁護士基準(裁判基準) 過去の裁判例に基づいて算出される基準。被害者が弁護士に依頼した場合に適用されることが多く、最も適切な賠償額とされる。 最も高額

後遺症が残った場合、特に後遺障害慰謝料の金額は、どの基準で算出されるかによって大きく異なります。適正な補償を受けるためには、弁護士基準での交渉を検討することが重要です。

5.3 逸失利益や将来の介護費用

後遺症によって、将来にわたって収入が減少したり、介護が必要になったりする場合があります。これらも適切な補償の対象となります。

逸失利益とは、交通事故による後遺症が原因で、将来得られるはずだった収入(利益)が減少または喪失したことに対する賠償です。これは、後遺障害の等級、事故前の収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間などに基づいて算出されます。特に、若年層や高収入の方の場合、逸失利益の金額は非常に高額になる可能性があります。

将来の介護費用は、重度の後遺障害が残り、将来にわたって介護が必要となる場合に支払われる費用です。これは、定期的な専門職による介護費用や、家族による介護に対する賠償、さらには介護のための住宅改造費用なども含まれることがあります。症状固定後に発生する費用として、長期にわたる生活を支える重要な補償となります。

これらの補償は、後遺障害の認定が前提となります。適切な補償を受けるためには、後遺障害の症状を正確に医師に伝え、必要な検査を受け、専門家と連携して手続きを進めることが極めて重要です。

6. 交通事故後遺症問題の専門家相談

交通事故による後遺症は、身体的な苦痛だけでなく、精神的、経済的な負担も伴います。このような複雑な問題に一人で立ち向かうことは非常に困難です。適切な専門家への相談は、後遺症からの回復と正当な補償を得るために不可欠となります。

6.1 弁護士に相談するメリットとタイミング

交通事故の後遺症問題において、弁護士は単なる法的な手続きの代行者ではありません。被害者の権利を守り、適正な賠償を得るための強力な味方となります。特に、後遺障害の認定や賠償額の交渉においては、専門的な知識と経験が求められます。

弁護士に相談する主なメリット 詳細
適正な後遺障害等級認定のサポート 医師との連携を通じて、後遺障害診断書の内容を精査し、客観的で説得力のある医学的証拠を揃えるためのアドバイスを行います。認定基準の理解や異議申し立てのサポートも重要な役割です。
適正な賠償金の獲得 自賠責保険の基準だけでなく、裁判基準(弁護士基準)に基づいた慰謝料や逸失利益、将来の介護費用など、正当な賠償額を算定し、保険会社と交渉します。これにより、被害者が受け取る賠償金が増額する可能性が高まります。
保険会社との交渉代行 保険会社との複雑で精神的な負担の大きい交渉を弁護士が全て代行します。これにより、被害者は治療に専念できるとともに、不当な示談を避けられます。
法的な視点からのアドバイス 事故解決までの全体的な流れや、個別の状況に応じた最適な解決策について、専門的な法的アドバイスを提供します。

弁護士に相談するタイミングとしては、症状固定の診断を受け、後遺障害診断書を作成する前が特に重要です。この段階で相談することで、診断書の内容が後遺障害認定に有利になるよう、適切なアドバイスを受けることができます。また、保険会社から示談の提示があった際や、治療中に不安や疑問を感じた場合も、早めに相談することをお勧めします。事故直後であっても、今後の見通しや注意点について相談することも可能です。

6.2 医療機関との連携によるサポート

弁護士が交通事故の後遺症問題を解決する上で、医療機関との連携は極めて重要です。弁護士は、被害者の治療状況や症状の経過を正確に把握するため、主治医との密なコミュニケーションを図ります

特に、後遺障害認定において重要な書類となる「後遺障害診断書」の作成にあたっては、弁護士が医師に対し、認定に必要な医学的所見や検査結果の具体的な記載を促すことで、より客観的で説得力のある診断書を作成しやすくなります。これにより、後遺障害の存在と程度を医学的に証明し、適正な等級認定へと繋げることが可能になります。

また、治療方針や今後の予後に関する医師の見解は、将来の治療費や介護費用、逸失利益の算定にも大きく影響します。弁護士が医療機関と連携することで、これらの情報を正確に収集し、損害賠償請求において有利な材料とすることができます

7. まとめ

交通事故による後遺症は、身体的・精神的な苦痛を伴い、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。しかし、決して諦める必要はありません。この記事では、後遺症の具体的な症状から、適切な治療法、後遺障害認定の仕組み、そして正当な補償を得るための知識まで、幅広く解説してきました。

最も重要なことは、症状を放置せず、早期に専門的な診断と治療を受けることです。病院と整骨院の連携、専門医による的確な判断が、回復への第一歩となります。また、後遺障害認定は、適切な補償を受けるために不可欠な手続きであり、その基準や準備には専門知識が求められます。

自賠責保険や任意保険による補償、慰謝料、逸失利益などは、将来の生活を支える上で非常に重要です。これらの複雑な制度を理解し、最大限の補償を得るためには、交通事故問題に精通した弁護士への相談が不可欠です。弁護士は、医療機関との連携を図りながら、法的な側面からあなたの権利を守り、適正な解決へと導いてくれます。

交通事故の後遺症に直面した際は、一人で抱え込まず、信頼できる医師や弁護士といった専門家を頼ることが、何よりも大切です。適切な治療と専門家のサポートを得ることで、症状の改善と未来への希望を見出すことができるでしょう。あなたの心身の回復と、正当な権利の実現を心から願っています。

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記事掲載 柔道整復師 熊野 箸